「人はなぜワクチン反対派になるのか ―コロナ禍におけるワクチンツイートの分析―」を読んでみた。

出典

Toriumi, F., Sakaki, T., Kobayashi, T. et al. Anti-vaccine rabbit hole leads to political representation: the case of Twitter in Japan. J Comput Soc Sc (2024).

メモ(引用含む)

元が英語論文のため、正しく解釈ができているか不安なため、あまり参考にしないでください。


コロナウイルス感染拡大期のTwitterのデータを分析することで、下記のことがわかった

  • ワクチン反対派は政治的関心が高い
  • ワクチン反対派は左翼寄り
  • パンデミックにてワクチン反対派の人は、もともと政治的関心は低いが、陰謀論、精神性、自然主義、代替医療に対する親和性が高い。
  • また、ワクチン反対派の政党へ関心が向かうことが多い

本論文の目的は「Twitter上でワクチン反対派」の態度をとる個人の特徴を説明すること」
これまでの研究では、ワクチン反対派について下記のようなことがわかっている。

  • ワクチン推進派は専門家が提供する科学的研究や統計的証拠を利用しているのに対し、ワクチン反対派は科学的知識を否定し、代わりに科学的真実を相対化するポストモダンの物語を採用する傾向あること
  • ディープステートへの言及など、政府に関して高度な陰謀的思考を示す傾向があること
  • 他の陰謀論を強化する傾向があること
  • 政治態度の分析によると、ワクチン推進する専門家いに対する反感を利用し、反ワクチンの見解をもつ人を取り込んでいることが示唆されている。

本研究の分析手法について

手動で検査し、反ワクチン情報を広めるアカウント、反ワクチンのツイートを投稿またはリツイートするアカウント、それらを多くフォローするアカウントを反ワクチンアカウントと定義

反ワクチンのクラスターは4つに分類された

  1. テクノロジーについて、電磁波攻撃、思考盗聴、についてや、健康、免疫力、ダイエットなど、健康志向が高い。柔軟剤等の化学過敏、自殺した俳優に対する陰謀論的解釈が見られた。
  2. れいわ新選組等に言及するなど左翼的な特徴
  3. 原発反対、反戦、共産党への支持など、左翼政党が典型的に支持する問題に高い関心を示している。
  4. 右翼的な特徴

反ワクチン主義者は政治的な懸念に引き起こされたわけではなく、陰謀論、スピリチュアルな言説、健康に関する関心等をきっかけに、反ワクチン姿勢と取っていることが示唆された。
つまり、健康や精神性に強い関心を持ち、パンデミックに不安を駆られている場合、反ワクチンのツイートに晒され、反ワクチン主義者となる可能性があることが示唆された。

本研究は、日本に焦点を当てており、世界で共通認識なのかわからない。反ワクチン情報を広めるアカウントを版ワクチン主義者と定義しているが、議論の余地がある。

本論文はツイートの観察的研究であり、因果効果について厳密な検証はできていない。この点については実験や社会調査を組み合わせた分析が必要となる。

感想、コメント等

ワクチン接種が良かったのか、悪かったのかについては、議論が分かれるところであるし、どのような側面から論じるのか、長期的に見るのか、短期的に見るのかで、意見が異なるだろう。
しかしながら、一方の言説に囚われてしまっていることは一定のリスクをはらむことになるだろう。
本論文にて、その囚われた人がどのような特徴を持つのかについて非常によくわかった。

一方のワクチン推進派についてもどうようの研究を見てみたい。