出典
増山篤(2017)「フリーのデータ,ツール,サービスによる地点間距離・移動時間の計算実験」,『GIS-理論と応用』25(2),p71-78
メモ(論文より引用含む)
概要
人工集中地域(青森県弘前市)にてOpen Street Map+QGISとGoogle Maps PlatformのDistance Matrix APIについて、距離と移動時間を比較した論文。結果、Google Maps の自家用車移動時間とQGISの最短経路距離にはかなり強い相関関係が見られた。

QGISにて、直線距離と最短経路距離を計算したところ、非常に強い相関が得られ、回帰分析すると下記の式が得られた。
y= 1.22117x
直線距離の1.2倍ちょうの値を最短経路距離として得ていることになる。これは腰塚武志,小林純一(1983)「道路距離と直線距離」,『都市計画論文集』18,p.43-48にて指摘されている通りだ。
感想・コメント等
今回の条件下ではあるが、QGISにて計算された最短距離とGoogle Maps Platformの自動車移動時間に強い相関があるというのは、非常にありがたいことだ。
有償ソフトウェアの方が正しい、品質の高い分析ができるとは思われるが、無償で同等のことができるのであれば、誰でも使用できるため、実験がしやすく間口も広がるだろう。
また、有償ソフトウェアの場合、使用に制限がかかることも多い、例えばGoogle Map Platformにて得られたデータは規約により他の地図に重畳できない。これにより研究に適さない場合もあるだろう。そのような場合、自由に使用できるというのは非常に有利な点だろう。
一方で、郊外でも同じ結果が得られるのか、Google Maps Platromの現在のAPIでも同様の結果となるのかについては、引き続き研究が必要だろう。