出典
中尾智行(2021)「博物館は赤字なのか ~入館料収入をめぐるコストパフォーマンス~」,『日本の博物館のこれからIV』, p115-126
メモ(論文より引用)
(入館料等)
第二十六条 公立博物館は、入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。ただし、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる。
博物館法(令和四年四月一五日施行令)
入館料を徴収している館においても、大人一人あたりの料金は平均値で434.3 円(中央値310 円)と安価であり、入館者数の平均も74,608 人(中央値14,399 人)であることから大きな収入は見込めない(日博協2020)。
1人あたり負担額というコスト指標を改善させるには、難易度や効果の面からみても、入館者数を増やすことが重要であることがわかる。館の活動目標として入館者数を過度に追及することについては、本来の目的(博物館が果たすべき基本機能の執行にあわせ、専門性の高い展示、充実した博物館体験や質の高い教育)が疎かになってしまいかねないことへの批判や、際限のない右上がりの目標設定に関する危惧もあり、慎重になるべきである。
感想・コメント等
博物館において「入館料」を徴収することに関しては、さまざまな方面から様々な意見があるだろう。その議論の中で、非常に興味深い論文である。
ただし、一口に博物館と言っても、植物園や動物園、郷土資料館、天文台、科学館、総合博物館、民間、公立等のいろんな状況、状態がある。
何が良いのかは館の置かれている状況によって変わるのだろう。